今日は、自分自身の側音化構音のことについて書きます。
少年野球編、男声合唱編、ST養成校編とあります。
第1章「少年野球編」
「リーリーリーリー、バーーーック」
「リーリーリーリー、ゴォーー」
小学3年生の私。
地元の少年野球チームに入団した私は、一塁の後ろにある、コーチャーボックスで声を出していました。
リーリー…、というのは、リードリード、のこと。
「塁から離れていいぞ」、と一塁にいるランナーに声で指示を出します。
この、「リーリー…」が、なんだかとても言いにくく、ギーギー、のような音になってしまいます。
このことが一学年上の先輩に、気づかれしまいました。
(先輩)「おい、お前のリーリー、なんか変じゃねぇか?」「キリギリスって言ってみろ」
(わい)「キリギリス…」
(先輩)「ワッハッハー、変なのー」
これまで38年生きていますが、ほかのひとからいじめられたり、からかわれたりした経験はこの一度のみ。
小さい頃からプロ野球選手名鑑を端から端まで読み漁り、大好きな野球でしたが、この一件で練習に行くのが嫌になり、その後、少年野球チームは辞めてしまいました。
第2章「男声合唱編」
「クリストゥス パックス エースプロ ノービス・・・」
大学1年の私。
東京にある大学で男声合唱団に入り、大きな音楽ホールのステージ上で宗教曲を歌っていました。相変わらず、私はリが言いにくい。
この、「christus」(クリストゥス)の、リ。
「クルィトゥス」っぽく歌うと、歌詞が歌いやすいことに気づきます。
歌は、喋るときに比べるとスピードがはるかにゆっくりなので、クルィトゥス、と発音しても、耳で聞く分には、それほど違和感がありません。
日本語の歌でも、例えば、津軽民謡の「じょんがら節」の、
『むーらーは りーんごで いーろづき そーめた』
という歌詞も、
りんご→るぃんご いろづき→いろづくぃ
のような感じで歌うと、いい感じに息が回り、歌いやすく感じました。
しかし、話しことばは、依然として話しにくいままでした。
第3章「ST養成校編」
23歳、坊主頭の私。
埼玉県の所沢市のST養成校にいました。
「今日は側音化構音の授業です」
当時、養成校に教えにきてくださっていたのは、日本における側音化構音指導のtop of top、の先生。
私は「失語症」に興味があってSTの門を叩いたのですが、まさか、STの養成校で、側音化構音のメカニズム、評価方法、訓練方法・・・などなど、自分が悩んでいた側音化構音について、これほど濃密な講義が受けられるとは、思ってもいませんでした。
しかもそれだけでありません。
先生が、休み時間に私の言語訓練をマンツーマンで指導して下さいました。
非常に出来の悪い(不器用な)生徒でしたので、時間はだいぶかかりましたが、無事、卒業までに側音化構音の矯正に成功しました。
小学生のときからずっと悩んでいて、途中、自己流で治そうとトライしていましたが治らずじまいだったので、やっぱり言語聴覚士はすごいや…、と思ったのでした。
以上、今日は、私の側音化構音のことについて書いてみました。
側音化構音の当事者エピソードってあんまり目にしたことがないので、なにかお役に立てれば幸いです。